ごぶさたしております。先週末に『問い合わせフォームを考える市民フォーラムふくおか(仮)』という秘密イベントを福岡で催しました。そもそもの発端は長崎に北島さんというひとが居て、問い合わせフォームのプラグイン作っているらしい、という話題がめ組のチャットで盛り上がりまして、じゃあ僕と確認さんと3人で問い合わせフォームプラグイン座談会でもやったら面白いんじゃないかと、そんな話になったのですが、当初 WordBench 福岡としてやろうかという話でしたが僕はどうも内容が濃くなりすぎるんじゃないかと心配になりまして、それじゃ話す方も聞く方もつらいんじゃないかと、それで最終的に10名参加の招待制の秘密イベントとしてやる運びになったわけです。当日の状況は他の参加メンバーのブログや、WP-D の記事などをご参照ください。
- WordBench番外編!「問い合わせフォームを考える市民フォーラムふくおか」に参加しました! – WebCake – ウェブケイク
- コンタクトフォームとYシャツと私 | カクニンプラスのweb日誌
- 問い合わせフォームを考える市民フォーラムふくおか(仮)に参加してきました。 | モンキーレンチ
- 問い合わせフォームを考える市民フォーラムふくおか(仮) | Ecogrammer
- 長崎の才能あふれる若手WordPressプラグイン作者 北島さんにインタビューしてきました! | WP-D
- 6時間ぶっ通しの極濃イベント『問い合わせフォームを考える市民フォーラムふくおか(仮)』に行ってきました。(前半) | WP-D
WordCamp Fukuoka 2011 の時に確認さんと初めてお会いしまして、「確認画面のある問い合わせフォームプラグイン」を引っ提げて福岡まで殴り込みに来られたのですが、あれから2年、今度は確認さんのプラグインがきっかけで問い合わせフォームプラグインを作り始めた若手があらわれました。僕の確認画面不要論(ほんとうはめんどくさかっただけですが)への反発から確認さんがフォームを作り始めたことを思い出すと、北島さんの登場でまた立場が変わった確認さんが見ていてとても面白かったです。まあそんなことはいいんですが、ともかく今回初の試みで、WordPress の問い合わせフォームプラグインを開発しているという物好きが集まって日頃思っていることを遠慮なしに語るという、どうなることかと思いましたが、いやー、これは楽しいですね!
3人がそれぞれ自分のプラグインの説明をしたり、問い合わせフォームへの思いを語ったりしたのですが、僕は問い合わせフォームの使い方に顕著に見られる文化的な違いについて話をしました。毎日大量のサポート問い合わせを見ていると、国や言語によって傾向にかなり大きな違いがあることに気づきます。特に目立つのがいわゆる『共有SSL』の利用。もう何年も Contact Form 7 のサポートをやっていますが英語で Shared SSL に関する問い合わせを受けたことは記憶にある限り1回しかありません。ところが日本語での問い合わせでは『共有SSL』環境でどうやったら Contact Form 7 を使えるかという質問が頻繁に来ます。最近になってだいぶ減りましたが以前は日本語の問い合わせの2件に1件ぐらいは『共有SSL』がらみだったように思います。『共有SSL』のリスクが意識されず無警戒に使われ続けてきた土壌が日本にはあるのかな、と思いました。
そういう違いがフォーム周りの使われ方には他にも多々ありまして、確認画面というのもその一つだと思っているんですけど、日本のユーザーはどんなに単純で項目の少ないフォームにでも確認画面が必要だと訴えます。特に企業サイトには確認画面が必須であり、確認画面のないフォームなどプロの仕事ではない、などとのたまう方もいらっしゃる、僕はそれはまったくのナンセンスとしか思わないんですけど、それはそれとして、僕が面白いと思うことの一つはどうして問い合わせフォームの使われ方にはこうも特徴があらわれやすいのか、ということです。コミュニケーションに関わる部分だからなのかもしれませんが、あるいは他にも、ガラパゴスの発生条件がひょっとしたらうまく揃っているのではないか。きっとこれは日本だけではなくて、中国には中国の、アラブ諸国にはアラブ諸国のガラパゴス文明がそれぞれ栄えているのでしょうけど、WordPress のユーザー数や僕の観測可能域からどうしても日本が目立ってしまいます。これについてはいつか研究を進めたいものです。
もうひとつは、こういった独特の文化というのは、プラグインの作り手がそれに合わせないといけない、と考えてしまいがちですが、逆に、使ったツールの仕様がユーザーのものの考え方に影響を与えている部分もあるはずで、例えば日々目にするどの問い合わせフォームにも確認画面があったらそれが当然と思うようになる、確認画面がないと落ち着かなかったりするかもしれませんけど、それが無いのに慣れたら別に困りもせず、無いのが普通と思うようになるでしょう。そういうもので、たかがプラグインですけど WordPress は2割くらいのサイトで使われていますから、そこの1%でもシェアが穫れたら、導入数としてはちょっとあり得ないくらいの数字になるわけで、ウェブ全体への影響力は結構なものになるわけですよね。いま現在ある文化に合わせるばかりでなく、むしろ僕らが文化を作っていくぐらいの気概があれば、もっと可能性が広がって面白いこともできるんじゃないか、確認画面にとらわれ過ぎるな、と、未来ある若者たちを唆してみました。今後面白いことになるといいですね。
僕的にはすごく楽しかったのでぜひまたやりたいと思っています。今度は別の角度からかき回してみたいです。長文失礼しました。また来年!